「……嫁選びの書は、わかっていたのだろうな」

 だから、彼女はここに──シュエット・ミリーレデルのもとにいるのだろう。

(禁書も彼女を選ぶ、か)

 なるほどな、と腑に落ちるものがある。

 だが同時に、心を見透かされているようで、悔しい。

今思えば、あれは初恋だったのだろう。十七歳にして。遅ればせながら。

 シュエットが視界に入るようになったのは、彼女がエリオットの周囲をうろちょろするようになったからではない。エリオットが無意識に、彼女を探していたからだ。

 几帳面で、責任感が強くて、我慢強くて、真面目で、家族思い。

 自分とはまるで違うシュエットは、エリオットの目には輝いて見えた。