エリオットは思わず、

「げ」

 と声を漏らした。

 彼は、信じられないような気持ちで、ベランダを見上げていた。

 王立ミグラテール学院を卒業してから四年。

 ずっと会うことがなかった、永遠に会う予定もなかった彼女がそこにいたからだ。

 記憶よりも少し大人びた顔立ち。以前はきつく結われていた女家庭教師みたいな髪型はもうやめたのか、柔らかそうな長い髪が春の夜風に揺れている。

 服装は、相変わらずのようだ。制服とそう変わらないかっちりとしたデザインのものを、一分の隙もなく着込んでいる。