エリオット。

 その名前を知ったのは、シュエットがまだ学生の頃──王立ミグラテール学院の三年生、十五歳の時だった。

 ミグラテール学院は、優秀な魔術師を数多く輩出している名門校だ。十三歳から十八歳までの六年制で、魔術だけでなくさまざまなことを教えている。

 毎週水曜日の五限目、魔術実技。

 シュエットには魔力がないため、魔術の実技は免除されていた。その代わり、彼女には特別厳しいとされている教師による特別な授業が用意されている。

 ランチタイムを友人たちと過ごしたシュエットは、魔術実技の授業のために外へ出る彼女たちを見送ってから、別棟で特別授業を受けるのがお決まりのパターンだった。

 その日も、友人のベルジュネットとコルネーユとともに、中庭に面した廊下を歩いていた。