ああ、やってしまった。

 エリオットはバタンと乱暴に閉じられた扉を見つめ、困り果てていた。

「そんなつもりは、なかったのだが」

 今頃扉の向こうでは、彼のかわいい恋人がプリプリ怒っていて──いや、羞恥に顔を赤らめて、抱えた膝に顔を埋めているに違いない。

 真っ赤な顔もかわいいのだが、とエリオットは溢れる愛しさを堪えるように、口許を覆った。

 紆余曲折ありながらも、彼女を手に入れてから数カ月が経過した。

 初めての恋人にすっかり夢中なエリオットは、彼女とどう接するべきかと模索する日々である。

 というのも、今まで愛されてこなかった反動なのか、シュエットを手に入れてからというもの、エリオットは彼女を甘やかしに甘やかしているのだ。

 このままではダメになるとシュエットが困っても、お構いなし。

 できれば四六時中そばにいたいし、彼女の身の回りの世話は全部してあげたいし、なんなら執務中は膝に乗せておきたいくらいだと思っている。