吹き抜けていく風が火照った体を撫でていく。

 抱きかかえられていた体をそっとベンチに下ろされて、シュエットはホッと息を吐いた。

「大丈夫か? 飲み物をもらってこようか?」

 エリオットは過保護だ。

 ちょっとシュエットが疲れたと思ったら、あっさりダンスを切り上げてしまった。

 シュエットはもっともっと踊っていたかったのに。

 物足りなそうにしていたシュエットを、エリオットは掬い上げるように抱えて、さっさと広間を後にしてしまった。

 子供のようにむくれるシュエットに、エリオットは申し訳なさそうにしながらもなぜか嬉しそう。