「お願いします、ピピ様!」

「では、頰か額にキス。もちろん、エリオットからシュエットにな。それができたら、許可してやろう」

 あどけない顔に不似合いな、人を喰ったような笑みを浮かべて、ピピは言った。

 さすが、古の魔術が記載された禁書だけはある。見た目は幼女だが、中身はとんだ食わせ者らしい。

(やっぱり、二週間でフクロウカフェをオープンさせるっていうのは無理があったのでは)

 ヴォラティル魔導書院が引っ越す前に、オープンまで見届けたい。

 両親にフクロウカフェについて話した夜、エリオットは、綺麗な顔を切なげに曇らせて告げてきた。

 魔導書院が引っ越せば、しばらくエリオットはそちらへかかりきりになってしまうらしい。

 だから、この試練も、カフェも、あと二週間で結果を出さないといけないのだとエリオットは言っていた。