「シュエット、起きてくれないか?」

「ふぁぁぁ……エリオットぉ?」

 欠伸をしながら起き上がったシュエットは、シパシパする目を開けて、声のする方を見た。

 衝立の向こうからヒョコリと、エリオットが顔をのぞかせている。かくれんぼ途中の子どものように不安げな顔をしているのは、おそらく寝起きの女性の寝室をのぞいている罪悪感からだろう。

(エリオットは、かなり紳士的よねぇ)

 欠伸を噛み殺しながら、これくらいなんともないのに、とシュエットは思う。

 事実、シュエットはエリオットのパジャマ姿を見ても動揺しない。あ、パジャマ着てる。そう思うだけだ。

 それに、エリオットは紳士だ。宣言通り、試練の時以外は決して触れてこない。

 隣に座るだけで動揺する男に、どう警戒しろというのか。むしろこっちが襲ってみたくなるわ、とシュエットは知らなかった自分を垣間見た。