カフェオレと一緒に適当に焼いたレーズンパンをエリオットにも出して、シュエットは冷えてしまった朝食をもそもそと食べた。

 ただのレーズンパンとカフェオレを、噛み締めるように食べるエリオットに、シュエットはもしやこの人は普段ひもじい思いをしているのでは? なんて一瞬思ったが、そうでもないらしい。

 パンを食べているだけなのに妙に気品が漂っていて、しぐさの一つ一つが洗練されている。

(いいところのお坊ちゃんなのかしら)

 王立ミグラテール学院には、一般庶民だけでなく下位の貴族も通っていたから、もしかするとエリオットは貴族なのかもしれない。

(没落気味のおうちとか? だって、ヴォラティル魔導書院の中で暮らしていると言っていたわ)