寝不足ぎみの朝。
 むくりと起きたわたしは、ぼんやり考える。

 わたし……?
 本当にあんなイケメン男子と、交際することになったのだろうか?

 もしかして、夢だったんじゃないかな?
 だって、いまも全然実感がないもの。


 おそるおそる、5分の道のりを歩いて登校した。
 警戒しながら、教室に入る。
 でも、わたしの周りの世界が変わっているなんてことは、全然なかった。
 昨日と同じ教室で、そんな告白があったことなんて、少しも感じられない。

 ですよね……。
 もしかして、やっぱり昨日の告白されたことも、夢だったのかな。
 どうしても歌を聴きたくて、ステキな男子が歌っていたなんていう勝手な想像で、白昼夢をみていたりして。

「菜花ちゃん、おはよう」
「あ、秋ちゃん、おはよう!」

 ふいに、背中をポンと叩かれた。
 机の前でポケッとしていたわたしは、慌てて笑顔になって、秋ちゃんのほうへ顔を向ける。