──連休初日、13時。

わたしはスマホの画面に表示された内容を現状と照らし合わせて、辺りを見回した。



「ここで、いいのよね」



13時に駅前西口、広場前。

相手が見当たらないから、どうやらわたしが先に目的地にたどり着いたらしい。……っていうかここで待ってていいの?あの人方向音痴じゃなかったっけ?



「わりー、待たせた」



「快斗。……お、はよう」



「なんだそのビミョーな顔は」



声を掛けられ、スマホから顔を上げる。

なんとも変なところで挨拶を切ってしまったのは、快斗の格好がいつもとは違ったからだ。




普段はスウェットにTシャツとか、着ててもジーンズにTシャツ、パーカーなんていうラフな組み合わせなのに。

丁寧にセンタープレスされた黒のストレートパンツに白いシャツ、同じく黒のジャケット。どちらかと言えば制服に近いフォーマルスタイルだ。



「似合わねーとか思ってんだろ?」



「いや、思ってないわよ。

髪が赤いからむしろ似合うと思ってたところよ」



「あ?

お前は清楚系ビッチな服着てんじゃねーか」



「あなたが清楚に見える服を指定したって知ってる?」



わたしだって休みの日はカジュアルに済ませることが多い。

別にそれでもいいとは言われたけれど、どっちかと言うと清楚、なんて快斗が指定したからワンピースなんて着慣れないもの着てきたのに。



むっと眉間を寄せれば、快斗は不適に口角を上げる。

……嫌な予感しかしない。