『──でねぇ、兼ちゃんは全然役に立たないしぃ。

静も我関せずで、鼓はひたすらうるさいしぃ。もぉ雫ちゃんのいない朝顔やだぁ。うっとうしいもんんん』



「ふふっ、ハルちゃんが今どんな顔してるか手に取るようにわかるわ。

越は元気にしてる? 最近連絡取ってないんだけど」



稜くんの誕生日が終わり、数日もすればゴールデンウィーク。連休のほとんどは彼岸花のみんなと過ごす。

……と思いきや、各々用事もあるようだから、毎日会うわけではない。



まつりが毎日会いたがってるけど断った。

だってあの人、いつ迫ってくるかわかったもんじゃないし。



連休初日。

夜になって電話をかけてきたのはハルちゃんで、自宅にひとりだったわたしはすぐにそれに応じた。



『えっちゃん?

……なぁんか、最近いそがしいみたいだけどぉ』



ハルちゃんと話してると、みんなの顔が頭に浮かぶ。

こうやって連絡を取るのは珍しくないから、そんなに寂しくはないんだけど。




『ってかぁ、えっちゃんなんてどうでもいいよぉ。

ハルね、明日は朝からイベント行ってくるんだぁ』



「あらそうなの? 何のイベント?」



『ふふん、それがねぇ』



ハルちゃんが大好きな、ビューティー系の動画配信者。

その人物のポップアップストアに行くらしい。お買い物金額で抽選ができて、当たれば本人と会えるようで、ハルちゃんがめちゃくちゃに燃えているのが電話越しにわかる。



……昔から好きだもんね、ハルちゃん。



『あーあ、雫ちゃんがこっちにいたら一緒に行けたのにぃ』



「そうね。でもたくさん楽しんできて?」