「お誕生日おめでとうございます! 稜介さん!」



パパンッと。

小気味良い音を立てるクラッカー。さすがに驚いたのか稜くんはぱちぱちと瞬きしたあと、「ありがとう」と柔和に笑った。



「お誕生日おめでとう、稜くん」



やっぱりお祝いは、みんなからしてもらった方が嬉しいだろうから。

たまり場でみんなでお祝いしたいというわたしのわがままを、まつりを筆頭にみんなが聞いてくれた。



「ありがとう雫ちゃん。

……もしかして、雫ちゃんが計画してくれたの?」



「え、なんでバレたの?」



幹部の誕生日に下っ端たちがお祝いするのは、彼岸花では一応恒例行事らしい。

彼等が幹部になったのは本当に最近だけど、お祝いされることくらいはわかってると思うのに。




「なんで逆にバレねーと思ってんだよ」



「飾り付けもケーキも、"女の子"って感じだもんねえ」



「うそ? そんなに分かりやすい?」



確かに、飾り付けはわたしがやりたいと言ったから、わたしの欲しかったものを下っ端の子たちに買ってきてもらって。

稜くんが幹部室にいる間に、飾り付けもしたけど。……そんなに分かりやすい?



「分かりやすいっていうかー。

しずくんらしくて良いよね、って褒め言葉だよー」



ニコニコ。

咲ちゃんがそう言ってくれて、普段スキンシップの少ない稜くんが、珍しくわたしの頭を撫でてくれた。



「それならよかった。

姫として出来ることなんて、これくらいでしょ?」