「結衣ちゃん、今日のご飯は何?」
「今日は餃子です! ひき肉が安かったので」
私がこの街に来て一週間。
この一週間はとても濃い日々だ。まさか暴走族の姫になるなんて思わなかったし、住み込みの家政婦さんみたいなことするとは思わなかった。
「そうなの? なんか専業主婦みたいなこと言ってるねぇ」
「あはは……突っ込まないでください、ナオくん」
ナオくんとは一緒に暮らしている男の子で、銀藍の幹部くん。姫になった日は、いなかったけど次の日の朝に自己紹介された。
「えー楽しいからいいじゃん〜」
まぁ、ナオくんの言う通りなんだよね。ここにきてから私は、学校行く前にスーパーの広告を見て安売りやってるところを探しているしスマホでも特売情報を調べているからなぁ
「俺、結衣ちゃんの餃子好きだなぁ」
「本当ですか? 嬉しいありがとうございますっ」
嬉しくて鼻歌を歌っていると、リビングのドアが開き鼓魅くんが入ってきた。
「……ナオ、近い。近すぎる。結衣から離れろ」
「はいはい」
「それにさっき、結衣に好きだとか言ってたな?」
「そんな顔するなって! 大体、俺が好きなのは結衣ちゃんの餃子!」
ナオくんは鼓魅くんにそう言うけど、何か気に障ったのか怒っているようだ。