「ごちそうさま」

「おそまつさまです!」


食器を片付けて、彼のいるベッドの横に座る。


「……で、あなた、誰ですか?」


「……」


数十秒の沈黙。

彼は、すごく驚いた顔をしている。


え、私、なんか変なこと言ったかな!?


ドキドキしながらも、彼の目を見て答えを待つ。


「……本当に、俺のこと知らないの」


「あっ、はい。そりゃあなたとは初対面なの
 で」


そうだよね!?

どこかで会ったなんてことは……。


ふつう、こんな顔の整った人を見たら忘れられないよ……?


「ふーん……」


彼は、少し悩むように下を向いた後、答えた。


「カヤ」

「はぇ?」

「……だから、俺の名前。カヤ」


彼はそう言って、かすかに笑った……。