「芭奈ちゃん、すっごい焦ったんだからね」
「ごめんなさい……幼馴染の家にお礼とお礼のものを私に行ってまして。とてもお世話になったので」
私は荷物を車に積みながら有坂さんに謝罪をする。
「そうか、じゃあ俺も挨拶してこようかな。車乗って待っていて」
「えっ、はい……」
行ってらっしゃい、と言おうとしたのにもういなくて既にインターホンを押していた。玄関で何か言葉を交わすとすぐに戻ってきた。
「お待たせ、じゃ行こうか」
「はい。あの……有坂さん、これ作ったんです」
「え? これ芭奈ちゃん作ったの?」
「はい、料理は好きなので……これからお世話になるので」
有坂さんは「ありがと! 美味しそう」と言ってくれた。彼は運転席に座りエンジンをかけると車を出発させた。
出発して三十分、隣町にある一軒家に到着する。