俺の名は朝倉空(アサクラソラ)
大学を卒業し大手商社に勤め始めた
社会人1年目。


俺には目に入れても痛くない
かわいい妹の花がいる。


花は小さい頃からそれはそれは可愛かった。
大きな瞳は綺麗で澄んでいるけど、その中身は凛としていて意思の強さを感じさせる。
足の指先から頭の先までが完璧な美の象徴。


俺も彫刻のようだと言われる事があるが
妹も同じ遺伝子を色濃く受け継いでいる。


ただ、育った環境のせいで、周りが野郎だらけ。紅一点の花は、両親からも幼なじみの両親からもお姫様の如く可愛がられていた。


花は覚えてはいないが…
俺の記憶では花はフリフリで女の子らしい洋服を着させられ髪の毛も長くてサラサラでふわふわで天使のようだった。


がっ、これまた育った環境がまずかった…


3歳の七五三が終わったあたりから身の回りの事をスムーズにやるようになり


親の注意も和らいだ矢先


まず始めにやった事が…


自分の髪をハサミで切り
ひらひらのロングスカートのワンピースをハサミで切り刻み


にっこり笑って俺の所に駆けてきた花。


実は、それまでの俺は妹をどうやって扱って良いかわからなかった。


カワイイ妹であるというのはわかっていたが


女の子には優しくしなくちゃいけないって
親に言われていて


その優しくって言うのが具体的にわからなくて、少し遠巻きに見ていたと思う。


あまり良く覚えてないんだけど…
そう思って  いた  はず。


幼なじみの康之助とその弟の悠之介とは男同士で普通に出来るのに、なぜか、実の妹の花には
どうすれば上手く接する事ができるかわからなかった。


妹はいつも母や幼なじみの母の膝の上で
ニコニコしていて、男の世界と女の世界は違うと思っていたから…