「いい加減にしないか、ミア」

「だってお父さま」

「ミアにはマクミラン公がいるのに、何の問題がある」

「そういう問題ではないじゃないですか」

「では、どういう問題だというのだ」

 父の言っていることはもっともだ。

 もし仮に私が誰と婚約をしたところで、すでに婚約者がいるミアには全く関係のない話だ。

 それなのに、先ほどから目に見えるほどの対抗心に似た怒りをひしひしと感じるのは決して気のせいではない。

 ちなみに、主席はグレンだ。いつも、どんな教科においてもグレンには勝つことが出来なかった。

「考えすぎよ、ミア。お父様、私は疲れたので部屋に戻らせていただきますね」

「そうしなさい。ミアももう寝る時間だ」

 そう言って父がミアを追い払う。まだ私に何か言いたげなミアを無視し、部屋へと戻った。

 瑞葉の時もそうだが、私がこの子に何をしたというのだろう。

 なぜそうまでして、私が幸せになるのが気に食わないのかが全く分からない。

「ミア、私は貴女がここをグレン様と継いだら、出ていかなくてはならないの。そのために、グレン様にはお仕事の口利きをしていただいたのよ。そこで、たまたま私の知識に興味を持った殿下に紹介されたというだけよ」

「ふーん、たまたまね。お姉さまのどこに、興味があるというの」

「いくらなんでも言いすぎだぞ、ミア。ソフィアは王立学園を二位で卒業しているんだ。王宮は男女の差別なく、優秀な人材はいつでも募集している。そこにソフィアが採用されれば、妹としても喜ぶべきことではないか」