「足……あし…」

 思わず頭を抱える。

 高校の時ですら、スカートはギリギリ膝が見えるか見えないかの長さだったのに、これはそれよりはるかに短いのだ。

 こんな露出の多い服で、どうしろと言うのだろう。いくらヒールの編み上げの部分が膝まで来るといっても、こんな紐では何も隠せやしない。しかも裾の部分の茜色が、思い出したくもない人を連想させる。

「まさかね」

「ソフィアお嬢様なら、絶対に似合うと思って送ってくださったのですよ。この前のカフェにいた奴らも、夜会にいるはずですので、見返すいい機会じゃないですか」

「そういう問題じゃないと思うんだけど」

「あ、でも、この色、なんだか王弟殿下様の瞳の色に似ていますよね」

「よく見ていたわね。なんか嫌だわ」

「お嬢様はああいう感じの方はお嫌いですか?」

「あんな風に女の人を侍らかせて喜んでいる人なんて、好きなわけないでしょ」

「まあまあ、そんな話は置いておいて、とにかくお着替えしましょう。今日は目一杯、ルカ頑張りますから」

 ルカの提案で、髪はいつものハーフアップではなく、頭の上に高く結い上げられた。

 そして金の星の形をしたピンが髪に散りばめられている。

 一見、暗そうに見えたドレスは形が華やかなこともあり、私の白い肌によく映える。

 化粧もいつになく、ばっちりメイクだ。ドレスの前の部分が短いこと以外は、文句のない仕上がりになっている。

 鏡で何度見ても、ぱっとしなかった瑞葉の時より2割増し美人ではあると自分でも思う。