メニューにはケーキやタルト、クッキーに紅茶やお茶が数種類書かれていた。

 値段は大体、食べ物が銀貨2枚で飲み物が銀貨1枚程度だ。ケーキに2000円が、飲み物が1000円。

 都会の値段はこんなものかと考え、いや、それでも高い気がする。

 上のイートインと下のイートインでは、もしかすると基本単価が違うのかもしれない。

「ソフィア、そんなに眉間にしわ寄せると、しわしわになっちゃうわよ」

「奥様、お嬢様はまだぴちぴちですよ」

「はいはい。二人ともそんな話はいいから、もう決まったの?」

「もちろん、本日のオススメよ」

「あのぅ、わたしも同じものをいただいても本当によろしいのでしょうか?」

「当たり前でしょ、ルカ。今日一日お買い物に付き合ってもらっているんだから、いいに決まっているじゃない。すみません」

 軽く手を上げると、すぐに店員が注文を取りに来る。

「本日のおススメのセットを二つと季節のタルト、あとコーヒーを三つお願いします」

「かしこまりました、すぐご用意させていただきます」

「あ、そうそう。お土産に焼き菓子をいくつか見たいのだけど、それもお願いできるかしら」

「はい、もちろんでございます。しばらくお待ちください」

 手際よく注文を聞くと、店員は下の階へ降りて行った。

 さすがにお土産用の焼き菓子は下でも売っているものだろうから、値段は変わらないはず。

 自分たちの分に、使用人たちの分を買うとして30くらいあれば足りるだろうか。

 使用人の数を指折り数える。すると、奥の席からクスクスと笑う声が聞こえてきた。