母のおススメのお店は、まだ昼前だというのに賑わいをみせていた。

 店舗手前が焼き菓子などのお持ち帰りを買うスペースになっており、奥がイートインスペースになっている。

 また、2階に貴族用のビップ席まであるという念の入れようだ。

 中でお茶をしながらお菓子を選ぶことが出来ると言われ、小腹の空いた私たちは中でお茶をすることにした。

 普通のワンピースに身を包む私たちは1階のイートインスペースへ案内されると思っていたのだが、母がここを何度か利用しているらしく、きちんと2階の席へ通された。

 スタッフがお客の顔を把握しているあたりからして、とてもレベルの高い店なのだろう。

 猫足のテーブルには白いクロスがかけられ、小さな花瓶にかわいらしい青い花が活けてある。

 2階は空間が広くとってあるにもかかわらず、席は4席ほどと少なく広々と空間を使用していた。

 客は私たち以外に1グループだけ。貴族の男性1人に女性が3人という組み合わせだ。

 ジロジロ見るつもりはないのだが、身分の高そうな男性を囲み、キャッキャと騒ぐ様は、あまり気持ちのいいものではない。

「ソフィアは何にする?」

「ん-、どれがいいのか……」

「とてもたくさん種類があるんですね、お嬢様」

「ホントね。これは迷うわね。どれも美味しそうだし」