行儀が悪いとは思いつつ、歩きながら結った髪を下ろし、重たいネックレスを外す。
そして小走りに二階の奥にある部屋に到着するころには、ヒールも片手に持っていた。
そのままの勢いでドアを開けると、部屋の中にネックレスとヒールを投げ捨てる。
ヒールは綺麗に弧を描きながら、落ちる。
部屋の中にいたルカが、いつもと様子の違う私に驚いたような表情をしていたが、今の私にはそれを構う余裕はない。
ベッドに顔からダイブすると、ひんやりとした冷たさが全身に広がり、とても心地いい。
「ごめんね、ルカ。しばらく一人にしてくれるかしら」
「申し訳ありません、お嬢様」
ルカは泣きそうな声で、頭を下げると退出していった。
何かを考えなければいけないはずなのに、頭の中には先ほどの光景しか思い浮かばない。
期待していたわけではない。別に、恋愛感情としてグレンを好きなわけではない。
だとすると、ズキズキと痛むこの胸は何なのだろう。
グレンに選ばれなかったという事実か、ミアが選ばれたという事実か。ただどちらにしても……。
「ああ、嫌な子だ……」
思いは口からこぼれ落ちた。
本来なら、祝福すべきことなのだろう。
それに妹という存在から離れられる絶好のチャンスなのに。
ただなんとなく、結局はグレンもミアを選ぶのかという事実にがっかりしたのかもしれない。
この世界で、いや、今まで全ての人生において、初めて出来た親しい人がミアを選んだということが思いのほか私の心に重くのしかかっていた。
そして小走りに二階の奥にある部屋に到着するころには、ヒールも片手に持っていた。
そのままの勢いでドアを開けると、部屋の中にネックレスとヒールを投げ捨てる。
ヒールは綺麗に弧を描きながら、落ちる。
部屋の中にいたルカが、いつもと様子の違う私に驚いたような表情をしていたが、今の私にはそれを構う余裕はない。
ベッドに顔からダイブすると、ひんやりとした冷たさが全身に広がり、とても心地いい。
「ごめんね、ルカ。しばらく一人にしてくれるかしら」
「申し訳ありません、お嬢様」
ルカは泣きそうな声で、頭を下げると退出していった。
何かを考えなければいけないはずなのに、頭の中には先ほどの光景しか思い浮かばない。
期待していたわけではない。別に、恋愛感情としてグレンを好きなわけではない。
だとすると、ズキズキと痛むこの胸は何なのだろう。
グレンに選ばれなかったという事実か、ミアが選ばれたという事実か。ただどちらにしても……。
「ああ、嫌な子だ……」
思いは口からこぼれ落ちた。
本来なら、祝福すべきことなのだろう。
それに妹という存在から離れられる絶好のチャンスなのに。
ただなんとなく、結局はグレンもミアを選ぶのかという事実にがっかりしたのかもしれない。
この世界で、いや、今まで全ての人生において、初めて出来た親しい人がミアを選んだということが思いのほか私の心に重くのしかかっていた。