執務室の中には、相変わらず書類が溢れかえっている。

 私とキースとグレンの三人は、朝から黙々とこの書類の束を片付けていた。

 もうすでに時間は昼を超え、おやつの時間くらいだろうか。

 朝から紅茶のみのお腹は、そろそろいろんな意味で限界だ。


「……溜め込みすぎだろう、これはさすがに」


 最初にしびれを切らしたのは、グレンだ。

 我慢大会ではないのだが、心の中で勝ったと思ったのは私だけではないはずだ。


「確かに量は尋常ではないと思うけど、書類がこんなにも溜め込まれているのは、何も私たち二人だけのせいではないと思うけど?」

「そうだぞ、グレン。新婚夫婦を引き離すのも悪いかと思って、王宮への出勤をしばらく1日置きにしてやっているんだから、文句を言われたくないな」

「それならせめて、まとまった休みを下さい、キース。それに書類を自宅へ持ち帰っている時点で、十分在宅勤務もしていると思うんですが」