玄関を出て、大きく手を振る。母の瞳はわたしを見ているようでその実見てはいない。
母の母である祖母と母との関係は、ちょうど瑞葉と今の母の関係だったようだ。
叔母から聞いた話では祖母は長女である姉だけ溺愛し、妹である母をないがしろにしていた。
そして事あるごとに、母にだけは冷たく当たっていたようだ。
まるでその仕返しを実の子にしているように思える。
双子とはいえ妹である自分の分身だけを愛し、自分にして欲しかったことをわたしを通して叶えようとしているのではないか。
わたしは、わたしなのに。
せめて瑞葉の様な強さがあれば……。