「すまない、ソフィア。ありがとう」

「姉さま……」

「あの日、あの事故の時、あなたの手をつかんだのは私だもの。あの時は助けられなかったけど、今度は大丈夫よね?」

「……ありがとう。そしてごめんなさい……瑞葉」


 私はキースと腕を組みながらゆっくり歩き出す。


 牢屋を出て、眩しく降り注ぐ日差しは夏の始まりを告げている。

 もうあの日あの時には帰れないけど、私の隣にはキースがいて、そして親友と少し我儘で寂しがり屋の可愛い妹がいる。

 それで今は、どんな時よりも十分すぎるほど幸せだった。