頭の中はグルグルと回り、いろんな情報に目を瞑り眠ってしまいたかった。

 目を背ければ、今だけはきっと楽になれる。でも、今しなければ私は絶対後悔するだろう。


「グレン、ミアも捕らえたのね」

「……」

「ソフィア」

「キース様、私をミアの元へ連れて行って下さい」

「ダメだ。こればかりは、いくら君の願いだとしても聞くことは出来ない」

「今しかないんです。もし裁判となれば、もうミアを救うことは出来ない」

「ソフィア、まだ君はミアを救えると思っているのかい?」


 悲しそうな、どこか諦めたようなグレンの瞳。グレンはもう、絶望してしまったのだろうか。全てに。


「まったく、あなたらしくないわグレン。こんなことぐらいで、そんな風に全てを諦めるなんて」

「らしい、らしくないの問題ではないだろう、ソフィア」

 
 力なく首を横に振るグレンは、万策尽きたと言わんばかりだ。


「いいえ。らしくないわ。二人がそんなことなら、私は這ってでも自分でミアに会いに行きます」


 起き上がり、ベッドから立ち上がろうとする。

 正直、まともに歩ける気はしない。

 病み上がりな上に、毒ときたのだ。泣きっ面に蜂というのはこんな状況をさすのだろう。