「グレン、辞めるんだ」

「いえ、これはソフィアが知らないといけないことです」

「だが」

「待って……、ではあの事故は、やはりただの事故ではなかったというの? あの事故にも、ミアが関係しているというの、グレン」

「ミアに付いて行った御者の一人を問い詰めたら、白状したよ。ミアに頼まれて事故を起こすようにしたと」


 あの事故は車輪の一つに亀裂が入り壊れたために、馬車が転倒事故を起こしたというものだった。

 王立図書館へ向かう街中で他の人を巻き込むこともなく、私も打撲程度で済んだのは奇跡に近かったと何度も医者に言われた。

 あの事故が本当に偶然起きた事故なのかは、私もずっと疑問ではあった。

 しかしそれが、こんな形で事故の真相を知ることになるなんて。


「グレン、ミアに付いて行った者たちはみんな捕らえたの?」

「ああ。貴族への殺人未遂だ。ただでは済まないよ」

「……」

「ソフィア、これ以上はもう」

「そうです、お嬢様。どうかお休みになって下さい」