毒を対外へ排出するために何度も吐き、朦朧とする意識を私が手放さないようにいろんな人に声をかけられ続けた。
焼けつくような喉の痛みや、嘔吐が治まるころには朝を迎えていた。
「ソフィア様」
ルカはずっと側に控えながら泣いている。
キースも夜通し付いてくれていた。
他にも医者やいろんな使用人たちが、入れ替わりで慌ただしく部屋を行き来していたような気がする。
しかし周りに気を使う余裕のない私は、どれも、うすぼんやりとしか覚えてはなかった。
「体内の毒はほぼ出しきった様だから、熱は続くかもしれないが心配はない。今はとにかく休んで、体力を回復させないといけないよ、ソフィア。もうこれ以上、心配させないでくれ」
「……キース様、あの子は?」
名前を出さなくても、キースはそれがミアを指していることが分かったようだ。
「っ! ソフィア、君はこんな時にまでなぜ、ミアのことを気遣うんだ」
「でも、あの毒は私のティーカップにではなくティーポットに入っていたんですよね? だからミアのティーカップからも毒が出てきたと。違いますか?」
そう、毒は私のカップにのみ入れられていたのではなく、注ぐ前のティーポット本体に入っていた。
そのため、あの時点では私もミアも2人とも毒を飲む可能性があったということだ。