自分からこの部屋に入るのはいつぶりぐらいだろうか。

 小さい頃は、どこにでもいる普通の姉妹として二人で遊べていた気がする。

 ミアが瑞希としての記憶を取り戻したのは、たぶんあの子が10歳になる少し前くらいだろうか。

 あの頃はよく何かに取り憑かれたように泣き叫ぶことが多く、いろんなお医者様に父たちが診せていた気がする。

 そしてどこにいても私にべったりとくっついて、いつも気付くとベッドにもぐりこんで来ていた。

 縋りつかれてかわいいと思う反面、父と母を独り占めにしているようなミアが私はやはり嫌いだった。

 そんなことでも、きっと過去を引きずっていたのだと思う。


「ミア、入ってもいいかしら」

「どうぞ、お姉さま。お入りになって」


 ペンダントを一度ぎゅっと握りしめ、深呼吸をしてから私はドアを開けた。