「……でも私も話したいんです。ミアと、ちゃんと」

「ソフィアはいつも無理ばかりするから、俺としては大人しくしていて欲しいのだが」

「ん-、そうですね……明日からちゃんと考えます。それよりキース様、あのプレゼントを今もらえませんか?」


 手を差し出す私に、一瞬なんのことを言っているか分からなかったキースの動きが止まる。

 しかしすぐに先ほどの小包のことを言っているのだと理解したキースの顔色が変わった。


「何言ってるんだソフィア。あれは、ダメだ」


 キースは力強く首を横に振る。


「でも、ちゃんとキース様が選んで下さったんですよね。だったら、私頂きたいんです。今の私なら、大丈夫です。お守り代わり、ダメですか?」


 そう今の私なら、ちゃんと身に付けることが出来る。

 それにどんな思惑があったにせよ、これぐらいではもうブレない。

 むしろちゃんと、ミアの前でも胸を張っていられる。

 一番欲しかったものをやっと手に入れられたから。

 キースは何かを言いかけ、しかし諦めたようにため息を一つつくとプレゼントを取り出した。

 包み紙がヨレヨレになってしまっているものの、中の箱は崩れてはいない。

 私は丁寧にその箱を開けると、中から三日月の細工に小さな茜色の石の付いたペンダントが入っていた。