半分は本心で、半分はこれでミアの監視から逃げられると思っていたから。

 そう思う私も、十分に嫌な姉だなという自覚はある。


「ミアをグレンに押し付けて自由になりたいって思っていたと言ったら、幻滅しますか?」

「いや、しないさ。それに、案外それもいいんじゃないか。グレンにとったら」

「そうなんですか」


 グレンはミアの性格など知っていて、婚約を申し込んだということなのだろうか。

 そういえば自分と違うところに惹かれたとは聞いていたけど、どの部分がという具体的な話はグレンとしたことはなかった。

 キースはもしかしたらグレンからもう少し詳しく聞いているのかもしれない。


「馬車の用意は出来ている。さ、行こうか」

「え、な、ちょっと待ってください」


 キースは寝ていた私をそのまま抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこだ。


「歩けます、歩けるので下ろして下さい」

「ダメだ。また倒れたら困る」