「私、気を失っていたのですか」

「ああ、そんなに急に起き上がってはいけないよ。宮廷医が病み上がりに無茶をしたせいだと言っていたよ。よほど疲れていたんだな」

「いえ、そんな。キース様ほど働いているわけでもないですし。何も無茶など」

「しているよ。そのか細い体で、一人でどれほどの想いを抱え込んでいるんだ。俺はどんなことでも力になれるなんて盛大なことは言わないが、側で支えることは出来る。ソフィアが泣きそうな時はその肩を抱いて、愚痴を溢したいときは隣でいくらでも聞く。そして共に悩み、共に困難な出来事に立ち向かいたい。それでは、まだ力不足だろうか」

「キース様」

「……すまない。返事は急がないと言いながら、焦っているのは俺の方だな」


 違う、そうじゃない。きちんと言わないと。