確かに仕事のお礼だと言ってあまり高価な物を送ると、恐縮してもう二度と手伝ってもらえないかもしれないな。

 ただ今まで、装飾店は貴族が普通に入る店しか入ったことはない。

 街で探すしかないか。


「殿下、わたくしいいお店を知っているので、ご一緒させていただけませんか? その店は平民でも頑張れば買えるくらいの値段の物を取り扱っているのですが、今とても人気のある店なんです。きっと姉も喜ぶと思いますわ」

「いやしかし、さすがに二人でというのは」

「大丈夫ですわ。侍女も控えておりますし、未来の義妹ではないですか。さ、参りましょう」


 やや強引に押し切られるように中庭を歩き出した。