片づけを終えて、ギルドを出る頃にはすっかり日が傾きかけていた。

 お礼をというギルド長の申し出を断り、すっかりお酒の入って出来上がった冒険者たちに挨拶をしてようやく解放された。


「それにしても、すごかったですねお嬢様」

「そうね。まさか、握手を求められるなんて思わなかったわ」

「お嬢様が全ての人に優しくするからですよ」

「でも、楽しかったわ」


 普通の侯爵令嬢ならば足を踏み入れないような場所。

 それもキースがいなかったら会話をすることもなかった人たちと、まるで仲間になったかのように騒ぐ。

 そのノリは、なんだか高校の文化祭の打ち上げのようだった。

 あの頃の私は、それに参加することも出来なかったけど。


「ルカはお嬢様が楽しそうにされているなら、いいんですけど」

「ありがとう、ルカ。さあ、急いでお土産を買って帰りましょう」


 ミアに何をあげれば喜ぶのだろう。

 ソフィアに転生してからも瑞葉だった頃の苦手意識からか、無意識のうちにミアとはあまり仲良くしてこなかった気がする。

 瑞希にも、何かあげたことがあるとすれば、小学校の頃にクマのぬいぐるみをあげたくらいだろうか。