「はい。ソフィアお嬢様、謙遜すぎるのも、一歩間違えるとただの嫌味にしか聞こえませんよ」

「嫌味って。私、そんなつもりはなかったんだけれど」

「本人に自覚がないから、たちが悪いと言うんです」

「ホントよ、ソフィアちゃん。あなた、十分すぎるぐらい綺麗よ。その髪も、夜空を思わす瞳も。それに冒険者たちにだって区別することなく接して笑いかける姿は、あいつらからしたら女神ね」

「女神だなんて、言い過ぎです。妹の方がよっぽど可愛らしいんですよ。キツイ顔の私なんかと違って、ふわふわしていて。とても女の子らしいし」

「そんなの、ない物ねだりよ」


 ぴしゃりと言われ、それ以上の言葉が出てこない。

 ない物ねだりか。確かにそうかもしれない。

 今だけではなく、過去でもずっとそうだったから。

 同じ顔なのに、何が違うのだろうって。

 ソフィアとミアとして全く違う顔に生まれてきたのに、それでも比較してしまう。

 ミアの方が瑞希と同じように可愛がられ、多くの人に囲まれているから。


「あのね、あたしたちが出会って、一緒に料理して一緒に笑いあったのはソフィアちゃんよ。そして仲良くなったのも好きになったのも、あなたの妹じゃない。そうでしょう?」