あれからつみれ汁を全員に振る舞い、さらにトカゲを大きくしたようなモンスターだというバジリスクの肉をカツレツにしたものも出した。

しかし、かなりの量があったにもかかわらず、あっという間になくなってしまった。


「あれだけ作っても、これだけしか残らなかったのですね……」


 ルカがさみしそうに、辺りを眺める。

 途中で自分たちの分が残らないと察したため、つみれ汁を三人前とカツレツを三枚だけは残しておいたのだ。


「やっぱり体を動かす仕事をする人たちは、胃袋も大きいのよ、きっと」

「ただ単に美味しかだけだと思うわよ」

「あ、ありがとうございます」


 アンジーさんが用意してくれたお茶を受け取る。

 紅茶とはまた違う、香ばしい匂いがした。

 味もほうじ茶とウーロン茶の中間のような味だ。

 ご飯を食べる時にはこっちの方が合うと思う。


「ソフィアお嬢様の作ったこのスープ、本当に美味しいですよ。これが魔物の肉だなんて、絶対に分からないですよ。もっとも、分かってもこの味なら食べちゃいますけどね」

「ホントね。これが魔物だなんて、びっくりよね」


 つみれをフォークでつつきながら、二人が関心そうに頷く。

 しょうがとネギあとはお酒で臭みを飛ばした肉はただの肉よりも濃厚で、コクがあるため汁にもいいダシが出でいた。