「ソフィアちゃん、大丈夫?」

「あ、はい。大丈夫です。これ、味が薄くて何か調味料はないですかね?」

「そうね、塩とコショウではないものなら、ここにあるけど。みんながお土産に他の地域から買ってきたものばかりで、使ったことはほとんどないものばかりだけど」


 アンジーさんが指さした棚には、瓶に入った色とりどりの香辛料が置かれている。

 どれが何かも見ても分からないので、一つ一つ開けてはまず匂いを確認することにした。

 その中の黒い液体を開けると、やや魚の匂いのするものがある。

 一滴、手のひらに垂らして味見。


「ん、魚っぽい醤油……」

「しょうゆ?」

「そういう調味料です。すこしくせがあるけど、つみれ汁に入れるなら大丈夫でしょ」


 そのままスプーン一杯分入れて、かき混ぜる。


「お嬢様、あの人たち食べるスピードがおかしいんですけど。先ほどの焼いたお肉なんて、取り分けたら一瞬ですよ。お酒も飲みだしていますし」


 向こうに行かなくても状況が目に浮かぶ。きっと宴会のようになっているんだろうな。


「残りのコカトリスも焼けたから、これとつみれ汁を合わせて持って行きましょう」

「そうね、とりあえず届けましょう」


 一旦全ての火を止めると、出来上がった物を両手に持ち配膳を始めた。