「そうじゃないのよ、ルカ。そういうファッションもあってもいいと思うのよね。この前、発注したお財布も使いやすかったでしょ」
「はい、あれはとてもかわいいです。使用人たちにもとても好評で、奥様がお友達の方にもプレゼントしたと言っていましたよ」
この前、巾着からじゃらじゃらとお金を出しているのを見て、ドレスを作ってもらう時にイメージのデザインだけ渡して財布もどきを作ってもらったのだ。
前の世界とは違い、ほぼ硬貨なので硬貨を入れる仕切りの付いた長財布のような物。
いろんな布で作ってもらったため、使用人に配ったところとても好評だったのだ。
基本的に貴族はお金を自分では持ち歩くことがないため、ほぼ庶民や使用人向けなのだが巾着よりもやはり使い勝手が良くウケがいい。
「ソフィアお嬢様のそのアイディアは、どこから出てくるのですか?」
「なんとなくよ。今まであんまり自分から外に出ることも、他の人に関わることもしてこなかったでしょ。いろんなことに目を向けるようになったから、いろいろと思いつくようになったのよ」
「お変わりになりましたね、お嬢様。それも、とても良い方に。ミア様のご婚約が決まってからでしょうか。ルカは、とてもうれしく思います」
「ありがとう。さあ、急いでギルドに向かわないと。ルカも手伝ってくれるかしら?」
「もちろんです」
ルカはにこやかな笑みを浮かべながら、私にワンピースを渡すと髪を綺麗に結い上げてくれる。
装飾品などは付けず、そのまま着替えると馬車に荷物を載せてギルドへと向かった。