ゆっくりと、なんとなく状況が掴めてくる。

 私たちはあの日、トラックに轢かれて助からず、この世界に生まれ変わったのだ。

 前に読んだ本で、異界転生とかいわれていたものがあった。

 おそらく、そういったものの類だろう。

 ここがどこの世界なのか、何かの本の世界なのかは全く見当もつかないが、生まれ変わったということだけは確かなのだろう。

 そしてそれも、よりによって瑞希と共に。

 もし唯一の救いがあるとしたら、それは双子ではないということだけ。

 それにしても、また姉妹だなんて……。運がないにもほどがある。

 ため息を気づかれないように飲み込んだ。

「頭がすごく痛むから、横になりたいのだけど」

 これは嘘ではない。記憶が戻って混乱しているせいか、それとも物理的になのか。

 先ほどから、頭や節々が痛くて仕方ないのだ。

「そーだと思いますよー。だって姉さまが乗っていた馬車が、転倒したんですもの。あちこち、痛いと思いますょ」

「馬車が転倒?」

「覚えてないんですかー? んー、やっぱりダメかぁ」

「どういう意味なの、ミア」

「何でもないですょ。こっちの話です」

 そう言って、またニコリと笑った。