「やはり仮説は当たっていそうですね。この計算式もそうですし、それ以外に書かれた文字もそうです。この文字はこの世界には存在しません」

「前に王立図書館で見つけた密書に書かれていたというやつか」

「ええ、そうです。おそらく正解でしょう。元々、ミアはそうではないかと思っていたのですが、ソフィアもやはりそうでしたね」

「こんなのに執着されている姉妹が哀れに思えるな」

「こんなの呼ばわりするなら、その書類は手伝いませんからね」

「いや、それは困る。半分引き取ってくれ。またソフィアから情報が聞ければ、ちゃんと報告してやるよ。この世界の全てを知りたいんだろ」

「そんな大げさなものではないですよ。ただ知らないことがあったら、突き詰めないと気が済まない質なだけです」


 そう言って、眼鏡を上げる。

 知らないことがあれば、知りたいと思うのが人間だろう。

 彼女たちがひた隠していることもそうだ。

 何よりあれだけ姉に固執する妹の心の中も。

 そしていつかその瞳が僕だけを追いかければいいと思っているということは、明かさない方がいいだろう。

 ミアに嫌われてしまうのは、さすがに困るから。