多くの命が奪われ、多くの人が悲しんだ恐ろしい黒いバラの花びら事件が解決してもう三年が経つ。特殊捜査チームの一員であるフィオナ・カモミールは、捜査中に亡くなったシオン・アカツキのお墓に花を供え、手を合わせる。

「シオンさん、今日でもう三年ですね。マーティー・ブラックローズに終身刑が最近、言い渡されました」

黒いバラの花びら事件は、一つ一つの事件の数が多かったこと、また事故に見せかけた殺人事件も少なくなかったため、取り調べや裁判に時間がかかったのだ。

「……また来ますね」

頰を伝った涙を拭い、フィオナは優しくお墓に向かって微笑んで歩き出す。そんなフィオナの背中を押すように、風が優しく吹いた。

三年という時間の中で、この世界は少しずつ変わっていった。フィオナたち特殊捜査チームのことが公に知れ渡ってしまったり、大きなテロ組織ができて潜入することになったり、仲間が入院したり、結婚したりした。