人間が吸血鬼になったとき、動けるようになるまでは基本的に丸一日かかるらしい。

 ということで、あたしが岸と会わせてもらえることになったのは翌日の夕方だった。


 あたしは何とか支えがあれば動けるといった状況。

 上層部もあたし達と同じことを考えているのかもしれないと嘉輪は言った。


「聖良がちゃんと動けるようになったら逃げるかもしれないと分かっているんでしょうね……。何がなんでもこの時間じゃなきゃ会わせないと言ってきたわ」

 まるで悪態をつくように舌打ちしている。


「……でもどうして上層部はお姉ちゃんを手元に置こうとするの? 前まではそこまでどうしてもって感じじゃ無かったのに」

 あたしの左側を支えてくれている愛良が嘉輪に聞いた。

 その質問にあたしもそういえば確かに、と思う。


 あたしの扱い方をどうするか定まっていないとは聞いたけれど、基本的には愛良のおまけって感じだった。

 ここまで念入りに引き止めようとされる感じじゃなかったと思う。


 でもその答えはすぐに右隣から出された。

「……多分、あたしのせいでしょうね」

「え?」

「今までも吸血鬼になった“花嫁”はいたわ。でも、純血種の血を入れられた“花嫁”は一人もいないの」