泣き続けるあたしにそれ以上どうすることも出来なかったのか、田神先生は「寮まで送ろう」と感情のこもらない声で言って車で送ってくれた。
流石に寮までには泣き止んでいたけれど、申し訳ない気持ちしか湧いてこない状態じゃあ何かを話すことも出来なくて……。
車を降りてから「送ってくれてありがとうございました」と無難な言葉を伝えるしか出来なかった。
「ああ……。とりあえず、今日は早く休め」
田神先生もそれだけ言うと車を走らせ帰って行く。
あたしは泣きはらして真っ赤になった顔を隠しもせず自分の部屋に向かった。
部屋の鍵を受け取るとき、寮母の上原さんは心配そうにしていたけれど何も言わないでいてくれた。
今はその方が有難い。
自分でもこのグチャグチャな感情をどう処理したらいいのか分からない。
とりあえずは、愛良の無事を確認しなきゃ。
あたしのことは置いておいて、そう思った。
コンコン
自分の部屋に一度荷物を置いてから、あたしは愛良の部屋のドアをノックした。
「はーい」
すぐにドアを開けた愛良は、あたしの顔を見てギョッとする。
一応顔は洗って来たけれど、赤くなった目元は簡単には戻らない。
でも戻るまで待ってるわけにもいかなくて、来てしまった。