『テスト、何点だった?』


塾の隣の席から、私の答案用紙を覗き込んだのは、幼なじみでクラスメイトの中浦 佑都(なかうら ゆうと)だ。


高校生のくせにフワッと良い香りがするの、密かにちょっとドキッとする。


『嫌だ、見ないでよ』


慌てて点数が書かれた部分を両手で隠す。


『ケチだな。俺、また点数下がったし』


『それでも私よりいつも上なんだからいいじゃない』


そう、佑都は毎日バスケ部でクタクタになるまで練習したり試合したりしてるのに、いつだって私より成績がいい。


昔からクラスで1番頭が良くて、いったいいつ勉強してるんだろって思ってた。


そんなにいつもコツコツ努力してるようにはみえないから。


『お腹空いた~早く帰ろ』


私達は急いでカバンを抱えて塾の教室から出た。


外に出るとちょっと肌寒い。


秋の夜空を見上げたら、お月様が浮かんでる。


星も少しだけ出ていた。


『明日も…晴れるといいな』