その答えに上手く答えることは出来なかった。

「……そうか」

 藍のその表情は、何を思ってるのだろうか……?

「恨みたければ、恨んでもいいと思うけどな」

「……え?」

 藍……。アンタ何言ってんの……? 

「なんで?」

「恨むなって言う資格、俺にはないからな。……でもその分、俺がお前を幸せにする。 恨みなんか忘れるくらい、とびっきり幸せにしてやるからさ」

「……とびっきり、ね」

 そんなこと言われなくたって、恨んだりしないわよ……。恨んでも仕方ないもの。
 だけどこうやって藍と夫婦になったことは、紛れもない事実だから……。その真実だけは、簡単には捨てられない。

「ああ。お前が俺のそばから離れないように、ギュッと抱き締めて離さないから」

「……抱き締めるなら、優しくしてよね。痛いのはイヤよ」

 そうやって時々、わたしを惑わせるようなことを言うのが、藍なんだ……。
 これが赤ちゃんの父親、そしてわたしの夫だ。

「分かったよ。優しく抱き締めてやる」

 そう言ってすぐ、藍に抱き寄せられる。

「……藍。わたしは藍と、三人でこれからも暮らしていくよ。 わたしたち、家族になるんでしょ?」

「ああ。なるんだよ、家族に」

「……うん」