高城家を出ると、藍が「透子、改めてこれからもよろしく頼むな」と微笑む。

「……こちらこそ、よろしくね」

 今日からあなたは、わたしの夫になる人。そしてわたしは、今日からあなたの妻になる人。 
 夫婦になる今、子供のために真剣に向き合っていくことが大事になりそう……。

「透子、婚姻届、一緒に出しに行こう」

「……仕方ないな。付き合ってあげる」

「素直じゃないね」
 
 わたしはあの高城ホールディングスの御曹司と今日、結婚した。  結婚した日は、藍と出会ってから二ヶ月後のことだった。
 そしてその日から、藍の溺愛が始まっていった。


✱ ✱ ✱


「透子、無理しちゃダメだ。俺がやる」

 藍と結婚して、早一ヶ月が過ぎた。

「大丈夫だって。心配しすぎ」

 最近は洗濯物を干す時にカゴを持っているだけで、そう言われてしまう。
 構わず洗濯物を干していると、藍が「俺がやるから」と強引に割り込んできた。

「ちょっと、割り込んでこないでよ」

 なんて押し返すけど、藍はなんとなく楽しんでいるようにも見えた。

「いいから、いいから。俺に任せておけって」

「ちょっと……! もう、邪魔なんだけど!」

 なんて言いながら洗濯物を干していると、藍がニヤニヤしながらわたしの下着を見つめていた。