「……小さい」  

 本当にわたし、赤ちゃんがいるんだ……。こんなにも小さいけど、ちゃんと赤ちゃんがいることが分かる。
 不思議だけど、なんだか愛おしい気持ちが湧いた。

「お疲れ様。 じゃあ次の検診は、また一ヶ月後ね」

「はい。わかりました」

「ありがとうございました」

 一ヶ月後に再度診察の予約を入れて、会計を済ませたわたしたちは、そのまま病院を出た。 

「赤ちゃん、小さかったな」

「……そうだね」

 赤ちゃんを産みたい。さっきエコーした時、純粋にそんな気持ちが生まれた。
 それは今まで感じたことのない、感情でもあった。
 
「……わたし、赤ちゃん、産みたい」

 そして気が付いたら、そう呟いていた。

「え、本当か?」

 だって子供には、罪がないから……。
 小さなその命の強さを見て、強くそう感じた。わたしがこの子を守ってあげなきゃって……。

「産んでくれるのか?」

「だから、そうだって言ってるでしょ。 何回も言わせないで」

「ありがとう、透子。……俺が二人を幸せにするから、必ず」

 そう言われてわたしは「それ、もう何回も聞いた」とだけ答えた。

「何度でも言う。……透子、俺と結婚しよう」

 わたしは、彼からニ回目のプロポーズを受けた。