藍はわたしを優しく抱きしめてくれた。そして頭を撫でながら、「大丈夫だ」と何回も言ってくれた。

「藍、ありがとう……。助けてくれて、ありがとう」

 藍には感謝しかない……。

「気にするな。言っただろ?お前のことは、俺が守ってやるって」

「うん……」

 藍と結婚したことは、間違いではなかった。今ならやっぱり、そう思える。

「透子、お前も……ケガしてるじゃないか」

 藍は言われて気付いた。どうやらわたしも、ケガをしてしまっていたみたいだ。

「すぐに手当しないと」

「大丈夫だよ、こんなの。かすり傷だし……。それより藍もケガしたんだから、手当しないとだよ」

 と言ったけど、藍は「ダメだ。俺は大丈夫だけど、透子は家に入って消毒しないと」と言ってわたしをおんぶしようと、わたしの前にしゃがんだ。

「へ?あ、藍……?」

 何なの?この状況は……?

「乗れよ。おんぶしてやる」

「い、いいから!そんな……! ひ、一人で歩けるし……!」
 
 おんぶなんて、恥ずかしすぎる……!

「ダメだ。妊婦なんだから、透子は」

「で、でも……」

「でもじゃない。大人しく旦那の言うこと、聞いておけ」

 そう言われたわたしは、仕方なく「はい……」と返事をした。