僕は、ずっと1人だ。これからも、ずっと。

「ねぇねぇ、香月(かづき)って何で一人称が僕なんだろうね?」

「いつも、ズボン穿いてるよね……女の子なんだから、スカート穿くのが普通だよね?」

教室に入ると、いつもクラスメイトは僕を見て笑うんだ。

どうして、皆は僕を女の子として見るのかな?僕は、女の子じゃないのに……確かに、身体的には女の子かもしれないけど。

「……」

僕が席に着くと同時に、チャイムが鳴って先生が入って来た。

今日も、色褪せた中学校生活が始まる。



昼休み、特にすることがなかったから僕は図書室に向かった。図書室で数冊本を選んで、椅子に座って本を読む。

でも、周りが騒がしくて集中出来ない。顔を上げて注意しようと口を開いた時、「ちょっと、うるさいんだけど」と中性的な顔立ちをした女子……かな?が騒いでいた男子を見つめた。

「……っ」

騒いでいた男子が言い返そうとした時、女子は男子を冷めた目で見る。その目を見た男子は、大人しくなった。

「これで良いでしょ?」

女子は、落ち着いた声でそう言って僕を見る。この子……僕と同じ学年?

「……ありがとう……」

「別に」

そう言って、女子は図書室を出ていった。気が付けば、僕は彼女の後を追いかけていた。