「翠ー、ご飯できたよー」



2階で紬ちゃんが翠くんを呼ぶ声が吹き抜けの家の構造のせいか、はっきりと聞こえてくる。


この休日は、みんな家に揃っていて賑やかだ。


台詞の練習のためなのか、ただリビングにいたくないだけなのか、唯一居なかった翠くんを紬ちゃんが呼びに行っていた。



「もうすぐ行くから先に食べててだってさ」



1人でリビングに戻ってきた紬ちゃんが、呆れ気味に言う。



「ふーん、じゃあ先に食べ始めちゃお?」


「そうだな」



伊倉くんが席に着いたのを合図に陽斗も席に着き、わたしと紬ちゃんもそれに続いた。



「いただきます」



4人で手を合わせて、夕飯に手を伸ばす。


今日のメニューはメンチカツ。


毎回食べていて思うけれど、大家さんの奥さん本当に料理が上手すぎる。


個人的に料理を教えて欲しいくらい。


たわいもない話をしながら、半分くらい食べ終わった頃、ようやく翠くんがリビングにやって来た。