へ?

どこかから聞こえてきたのはため息混じりの聞きなれた声。

この声……。

声のした方へ視線を向ければ、そこには案の定呆れ顔の楓くんが立っていて。

み、見られた……。

壁にぶつかってしかも慌てて謝って……すごく恥ずかしい場面見られた……!!

「ダンボールが勝手に動いてると思ったら、お前だったのか」

「なっ! 失礼な……」

楓くんは私の元へ近寄ってくるなり、意地悪な笑みで憎まれ口をたたく。

またそんな意地の悪いことを……。

「これ、どこに運ぶんだよ」

……え? あっ。

楓くんは私の答えを聞く前に、私の手元からひょいっと2つのダンボールを取り上げる。